僕は、一番遅くて一番時間のかかる人に寄り添うと決めた
A chain is no stronger than its weakest link.
鎖の強さは最も弱い環で決まる。
〈コナン・ドイル〉
今の社会では、強くて優秀な人ほど注目される。
そしてそういう人ほど、よりチャンスに恵まれ
より良い環境へ、より力が発揮できるようにできている。
そんなの当たり前だと、多くの人が言うと思う。
優秀な人材にお金をかけ、短期間で成果を出してもらう。
それは確かに効率的だし、良い方法のように感じるだろう。
それはサバンナに生きる野生動物と同じ生き方だと思う。
より強い者、より環境に適応したものが生き残る。
もちろん、生命は地球上でそうやって進化してきたと言われればそうだけれど
僕は、人間はそれから外れた存在だと思っている。
強い誰かを戦って決め、強い遺伝子だけを残すという方法ではなく
より多様な、より豊富な遺伝子と、小さな小さな知識の積み重ねを繰り返して
今、人は大きな社会を作り出している。
強くて、素早くて、柔軟に何でもできる人だってもちろん大事だ。
だけど今、社会はそれにばかり力をかけすぎた。
鎖のバランスがおかしくなっているのだ。
強い環をもっと強く、太い環をもっと太く、頑丈に。
そうしてできた鎖は、果たして本当により多くの人を支えられるだろうか。
この成熟し始めた社会で
そろそろ一番弱くて一番細くて一番成長に時間のかかる環に
もっとお金と時間をかける必要があるんじゃないか。
それは子供や若者
ハンディを持つ者
女性
外国人
僕らがそ知らぬふりして差別を許容するすべての人たちに
もっと目を向け、支える必要があるんじゃないだろうか。
どれだけ前面に太くて強そうな環を見せて、
あたかも「僕らはみんなで支え合っている！」
などと言ったところで
一番負担を感じているのは一番弱くて細い環なのは明らかだ。
環の大きさがバラバラだったとき
その鎖を支える力のキーマンは、一番強くて太い環ではなく
一番弱くて細い環だ。
僕らの鎖は、すでに一部の強くて太い環によって、
多くの細くて弱い環に負担を強いていることに、
もっと多くの人が気付かないといけない。
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