せをはやみの夏
瀬を早み岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ
(崇徳院)
岩にぶつかった川の流れが 一度二手に分かれてもまた一つになるように
私たちも今は別れても 必ず再び会いたいと願う
とても大切な人とお別れしないといけなくなった。
雨が降りそうな夏の終わりだった。
クーラーの利かない暑い部屋の中で、私は何と言って別れたらいいのか分からなくて、
喉の奥に引っかかった言葉をどうにか出したいと思いながら、
一度声に出してしまったらきっと、
涙が止まらなくなって相手を困らせてしまうかもしれない。
そう思うと、何も言えなくて、遠くを見るように目をそらすしかなかった。
そんなお別れをしてしまったからか、今でも思い出しては涙が出る。
本当に、本当に一度別れても、いつかまた会えるとしたら、涙は無駄だ。
いつかまた会えるなら。
いつかまた会えるとしても、どうしてこんなに悲しい気持ちにならなくてはいけないのだろう。
いま隣にいてほしいのはあなたなのに。
#百人一首 #別れの言葉 #77番 #悲しい別れ #失恋